平成26年6月20日会社法の一部を改正する法律が成立し、平成27年5月1日施行されました。内容を見てみますと、取締役の恣意的な経営へのお目付け役、第三者委員会的な役目を社外取締役にさらに強く期待しているように感じます。

 1、社外役員(社外取締役・社外監査役)の独立性を高めるために、その資格が見直されました。従前の要件に追加して、社外役員が、〇親会社等の関係者でないこと。 〇親会社等の子会社の業務執行関係者でないこと。〇経営者等の配偶者・二親等以内の親族でないことも含められました。社外役員を選任している会社は今一度その資格を見直す必要があります。過去10年以内にその会社や子会社の業務執行取締役等でなかったとしても、親会社関係者では、十分な独立性が確保できないと確保できないと言うことでしょう。
社外取締役の存在しない上場会社では、株主総会において、「社外取締役を選任することが相当でない理由」を説明する義務が生じます。これは単に適任者がいなかった程度の単純な理由ではなく、相当厳しい理由を予定しているとみられます。実質的には社外取締役選任の義務付けに近いものかと思われます。

 2、100%出資子会社がある会社については、親会社の発行済株式の1%以上の株式を有し、かつ6か月以上継続して保有している株主は(定款で株式の譲渡制限をしている場合は除く)、その会社の100%子会社(内国子会社)の役員に対して株主代表訴訟を起こせることになりました。これは最近100%子会社が増えてきたことに対応するもののようです。

 3、定款で、監査役の監査の範囲を会計監査に限定している場合、その会社では会計監査のみに限定してる旨を登記することになりました。

 4、主として上場会社に関係することですが、「監査等委員会設置会社」と言う制度が新設され、従前の委員会設置会社は「指名委員会等設置会社」と名称変更されました(指名委員会等とは指名委員会・監査委員会・報酬委員会)。その内容や監査役会設置会社との関係、社外役員の数などにも詳細規定がありますが、長くなりますので、今は触れません。 
 以上の他にも改正点があり、広範囲に及ぶ改正です。